転職でキャリアアップする|体当たりの体験談

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製薬会社の営業(MR)の退職理由とMRのここが本音でキツイ

MRはよく週刊誌などで高収入の職業の一つとして紹介されています。

製薬会社の営業職はMRと呼ばれ、一般の会社の営業職とは業務内容が大きく違います。

 

MR(Medical Representatives)は、医療機関を訪問し、医薬品を中心とした医薬情報を医師、薬剤師に提供し、適正な使用と普及を図ること、使用された医薬品の有効性、副作用等を医療の現場から収集して報告すること、得られた情報を医療関係者にフィードバックすることなどを主な業務としています。

 

MRは他の業界と比べて給与水準が高い職業です。

40代で1,000万円をこえる平均年収があり、家賃補助や福利厚生も整っていますし、毎年大型連休で10日休めます。

 

営業日当も支給され、私の会社は1日3,000円つきました。給料以外に毎月60,000万円程の収入が見込めます。

 

MRは世間から見てもおいしい職業の一つと言えます。

 

私は10年程このMRをしていましたが、昨年MRを辞めました。

 

なぜそんな収入も高く、人気のある職業を辞めたのか?周りからはもったいないと猛反対にあいました。自分でもそう思います。しかし我慢の限界でした。

 

辞めた理由は、MRという仕事に何の刺激も得られず、仕事に面白味を感じられない事に耐えられなくなったからです。

 

このような毎日があと20年以上続くのだと考えた時に、我慢できなくなりました。

 

十分な収入はありましたが、仕事の事を考えると虚しさしかなく、自分の成長も希望も何も感じられなくなりました。

 

そのため、私は40歳までは何があってもMRを続け、40歳になったらMRを辞めようと決めました。

 

明確なゴールを決め、40歳になれば辞めてもいいんだと自分に言い聞かせることで何とかモチベーションを保つことができ、40歳になった今、MRをスパッと辞めることができました。

 

MRをしていてキツイと感じる事がたくさんありました。中でも特に精神的にキツイと感じた仕事内容をご紹介します。

 

・一人で仕事が完結してしまう孤独感

MRは孤独な職業です。

 

県内を数人のMRで担当していたのですが、営業所も無く同僚MRと顔を合わせるのは会議のみ、ほぼ一人で仕事をしている状況でした。

 

朝自宅から取引先である医薬品卸売会社入り、喫茶店でメールのチェック、昼に開業医を回り、夕方から病院を訪問、そのまま直帰し自宅に帰る。毎日この繰り返しでした。

 

会社には所属しているが仕事の内容は個人事業主、会社、同僚との連帯感が全く無く一人で仕事をしている虚しさ、孤独感でいっぱいでした。

 

・人間関係、ノルマでストレスがたまる

人間関係に悩んでいるMRは多くいます。医師や薬剤師は気難しい人も多く、高いコミュニケーション能力が求められます。

 

また、医薬品卸売会社のMSと上手く関係を作れないと売上に影響がでてきます。

 

医薬品卸売会社の営業担当者はMS(マーケティングスペシャリスト)と呼ばれており、医療機関での医薬品の価格交渉、売上回収、納品業務を行います。

 

MRはMSを通してしか価格交渉ができないので、MSとの関係性が悪くなると他のメーカーを担いで口座を取られたり、希望の見積額の提出さえしてくれなくなることもあります。

 

そのため毎朝訪問し、関係性を保ち、情報共有を図っているのです。

 

医師との面談もクリニックの待合室で1時間待ち、面会できたと思ったら何の反応も無く1分で終わったり、薬局からは指導箋や販促品を持って来いと上から目線でいわれることも多々あります。

 

日頃は挨拶しても反応がないが、協力してほしい時は態度が豹変するMS、毎日何人ものMSから要望の電話がかかり、電話が鳴るたびイライラしていました。

 

MRは数字のノルマが厳しくプレッシャーに耐えられないという人も多いです。売上の進捗が悪いと訪問軒数、勉強会回数などを細かくチェックされ、会議で上司に追及されます。

 

会議が近づいてくるとそれだけで憂鬱になっていました。

 

このようなストレスだらけの環境なので、精神状態がおかしくなり、鬱になる人も多く、私の周りでも休職し工場に左遷される人、退職者を何人も見てきました。

 

・業界の将来性、MR不要論、

ここ数年で大手メーカーの早期退職が続々と始まり、医薬品業界はMRを減らす方向に動いています。

 

特に生活習慣病薬は、国の後押しを受けたジェネリックの推進によりどんどんジェネリックに置き換えられています。それに伴いMRが会社の重荷となり、リストラが始まっています。

 

医師や薬剤師もインターネットで情報を得るようになった今、MRはオンコロジー領域や専門性の高い領域以外は不要となり、今よりMRは確実に減っていくと思われます。

 

また、外資に比べて日本国内の内資メーカーは規模が小さく今後吸収合併が進んでいくと思われ、ますますMRはダブつきます。私の会社も外資に吸収合併され、エリアで重なったMRや管理職はかなりリストラされた経験があります。

 

MR不要論とともに医薬品業界の未来は暗く先が見えない状況です。

 

・新薬が出せるメーカー、出ないメーカー

新薬が薬価収載され世に出ることを上市するといいますが、メーカーにとって新薬が出ることは社運がかかった一大イベントです。

 

新薬が出るまでには莫大な時間と費用がかかっているので、どれだけ素早く回収し、売上を上げ続けられるかが会社の経営に大きく関わってきます。

 

そのため、上市に向けて製品研修やロールプレイングが始まり、会議では会社の戦略、どのように売っていくかの方向性が示され会社も現場も非常に活気に満ちています。

 

逆に新薬が出せないメーカーの場合、既存製品の拡売、ジェネリックメーカーからの切替防止が主な業務となり、MRのモチベーションが低下していきます。

 

MRとしての基本的な業務は同じですが、新薬が出せる大手メーカーと新薬が長年出ていない中小メーカーとでは大きな差があります。

 

転職先を探すうえでも新薬の上市予定、直近の上市製品を確認することも重要なポイントとなります。

 

・転勤、労働環境が悪い

MRは転勤が多い職業で、私もだいたい2年間隔で異動していました。転勤の度に一から人間関係を構築していかなければならず、人生設計も難しくなります。

 

MRの悪い特徴の一つが勤務時間の長さです。

 

残業代が出ないのでサービス残業で処理されますが、夜診が終ってからしか面会できないドクターだと夜10時を超える時もありました。

 

病院では医局の廊下に立ち、ひたすら面談したいドクターが通るのを待ちます。1時間待って誰とも話せない事もよくありますし、今時こんな非効率なやり方しかできない事に疑問を感じていました。

 

ただ立って待っている、それだけで給料がもらえるという何の生産性も無い無駄な時間でした。

 

朝から夜遅くまで働こうと、予算が未達であれば評価はしてもらえません。毎日いつ辞めようか?次はどの業界で働こうかと考えながら仕事を無理やり続けていました。

 

私には合わなかったMRですが、以下の条件を満たす人にはMRは合っていると思います。転職先にMRを検討してみてはいかがでしょうか?

 

・学習意欲が高い

MRは薬学部出身者もいますが、文系出身者も多くいます。

 

医療のプロフェッショナルである医師や薬の専門家の薬剤師に医薬品の情報提供を行い、質問があればそれに答えなければなりません。

 

文系出身者が会社の研修で得た知識だけで渡り合える程甘くはありません。

 

医薬品は使い方によっては重い副作用が出ますし、人の生死に直結しているので医師や薬剤師は完全に納得するまでは新しい薬剤を処方することはありませんし、理解するまで質問を受け続けることになります。

 

そのため、知識の習得が不可欠で常に自ら学習する意欲がないとMRは務まりません。論文を読んだり、学会や講演会に参加して自主的に学習することが必要です。

 

・自己管理能力が高い

MRは毎日病院や開業医を訪問している為、外回りの時間が多くなりますが、その間の行動は上司は監視できません。

 

そのため、高い自己管理能力が求められます。自分を律することができないMRはサボり癖がつき、売上も比例して落ちていきます。

 

訪問の合間の時間で日報の作成、経費清算、勉強会の資料作成、講演会の段取り、資材の発注等、細々とした業務をこなしたり、予算の進捗に合わせたスケジュール管理をしなければなりません。

 

自主的に、課題発見・戦略立案に取り組むことができるような人にはMRはやりがいのある職業と言えます。

 

・ニーズをつかみ空気感を読む力がある

開業医の待合室には何人ものMRが医師との面談待ちをしています。そのため話せる時間はとても短く、いかに短い時間でインパクトを残せるかが重要です。

 

医師も何人ものMRの話を聞いるうちに、最初のMRの話なんかは忘れている可能性が大きいからです。

 

情報を簡潔にわかりやすく伝える力、医師が求めている症例や資料が何かを予測する力、参考となる情報を提案する力がある人はMR向きと言えます。

 

MRを10年間やっていて身についた知識・経験もあります。

 

・メンタルが鍛えられた

私の所属していた会社が大きな問題を起こし、国から行政処分を受け医療機関からも様々なペナルティーを受けました。現場のMRはひたすら会社の尻ぬぐいで謝罪に回りました。

 

約1年程、謝罪、業務改善策の説明に回りましたが、その期間はずっと怒られ続け、出入り禁止や口座カットにもあいました。

 

1年もの間、自分に関係の無い事で怒られ続けているとそのうち何事にも動じなくなり、何を言われても受け流せるようになり、感情のコントロールが上達し、結果鋼のメンタルを得ることができました。

 

・常に自分で考え行動する

MRには自己管理する能力が必要です。

 

自分でスケジュールを立て業務を進めていくスタイルなので、何事にも期限を決めてそこから逆算して行動する癖が身に付きました。

 

上司から言われてやる受け身の仕事ではなく、この予算を達成するためには何が必要かを考え、一月を一週間ごとに分けそれぞれの週で取り組むことを決める、月の半ばで進捗状況を確認し、予定を修正する。

 

仕事はPDCAを回すことだとよく言われますが、意識せずとも結果それに沿った行動をするようになりました。

 

辛い思いをしながらMRをしてきた結果ですが、このような事が身についたことは大きなメリットです。

 

MRは過酷でストレスがたまるキツイ仕事です。

 

いつ辞めようかとばかり考え無理やり働いていました。

 

辞めようと決心してからも周りや上司、同僚から引き止められたり、収入が減ることや異業種へ転職することへの不安等から大変悩みました。

 

このままMRを続けるべきか?辞めて他の業種へチャレンジしてみるのか?自分が納得するまで大いに悩みぬくことが大切だと思います。

 

私はMRになってから常に自分には合っていないんじゃないか?

 

何か違和感を感じながら働いていたので、その原因は何かを考え続けていました。その結果自分はMRの仕事に何の刺激も受けない、面白味を感じないということが分かったのです。

 

もちろん働いている人が全員が楽しくてやりがいを感じている人ばかりではありません。

 

しかしながら一度の人生、仕事に一生を捧げる必要はないと思い、自分の中で結論が出せ、MRを辞めることができました。

 

収入も大幅に減りましたが、納得できたうえでの退職なので後悔はしていません。

 

MRを好きで楽しんで働いている同僚もたくさんいます。

 

結果を残せば高収入も望めますし、ガツガツ上を目指す人にとってはやりがいのある仕事です。MRのいい面悪い面も考え、今後の参考にしていただけたらと思います。

 

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